2009年3月10日

『その場所に女ありて』と『旅役者』を観る

東宝文芸映画の世界

なんかここのところ月一回は神保町シアターに行ってる気がする…(気がするじゃない、確かに行っている)
ま、それはさておき、文芸映画特集Vol.11『東宝文芸映画の世界』
兼ねてから観たかった鈴木英夫監督の「その場所に女ありて」と成瀬巳喜男監督の「旅役者」を鑑賞。

その場所に女ありて

鈴木英夫は最近でこそ再評価の兆しがあるものの、ほとんど忘れ去られていると言っても言い過ぎではないような扱いをされている。また、俳優イビリが有名な監督でもあるらしく、彼については自伝で悪く言う俳優もいるくらいだからまぁ、しょうがない面もあるかもしれないが…ま、かく言う自分も彼の作品をこれまで観た事ないのだからあんまり知った風な事は言えないんだけど…以前、読んでいた元東宝プロデューサーで並木座の代執でもあった金子正且氏著「その場所に映画ありて プロデューサー金子正且の仕事」でこの「その場所に女ありて」を鈴木英夫監督との思い出と共に書かれてあったのが印象的だった。

 主演の司葉子はこの作品に出演前、小津の「小早川家の秋」に出演、撮影も複数作品の掛け持ちをこなし体調があまり良くなかったらしいが、そのせいか生き馬の目を抜く広告代理店のビジネスウーマン役にピッタリはまっていて好演。作品自体も中々の佳作だった。

旅役者

成瀬巳喜男の戦前の1940年の作品『旅役者』は藤原釜足(この時期は藤原鶏太)主演の一種の芸道モノとも言われている作品だけど、まぁ、それほど芸道作品的色彩は強くない。むしろ軽喜劇と呼んだ方がしっくりくる。公開当時はあまり批評家の間での評価は良くなかったという話がまるで嘘のような良質の小品で実に楽しかった。

そう言えば同じ成瀬作品で41年の「秀子の車掌さん」もこの「旅役者」同様に真夏の季節が舞台になっているのだが、両作品で成瀬は藤原鶏太に氷屋でかき氷にラムネをシロップ代わりにかけて美味しそうに食べるシーンを演じさせている。この食べ方は成瀬自身のお気に入りの食べ方なのかなぁ?それともこの時分の食べ方としては意外とフツーだったのだろうか?そんな事がまたしても頭の中をグルグルと駆け巡ってしまった。

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