2011年6月23日
『五百羅漢 −増上寺秘蔵の仏画 幕末の絵師 狩野一信』展

随分とご無沙汰の江戸東京博物館に『五百羅漢 −増上寺秘蔵の仏画 幕末の絵師 狩野一信』展を観に行った。
数年前にBS-hiのハイビジョン特集「秘宝公開 驚異の仏画 五百羅漢図」で美術史家の山下裕二氏が2011年に五百羅漢図の全百幅を一同に介した展示会を予定していると語っていたのを聞いてから、ずっと心待ちにしていたが、開催直前に震災が起こってしまい、会期延期の憂き目に遭いながらも無事に開催され、私も何とか鑑賞する事ができた。よかった、よかった。
江戸時代に隆盛を誇った狩野派の系譜に連なるとされる狩野一信だが、ごくごく最近まで殆ど無名というか忘れられていた画師で、一応、現在は世間一般では「狩野」で通っている姓も、一節には「狩野」を名乗ることを許されなかったという説もあり、画師として素性はさておき中々謎の多い人物のようだ。
そんな彼のほとんど唯一に近い代表作であり超大作である「五百羅漢 全百幅」が空襲で殆ど焼失した増上寺の宝物の中で一幅も欠けることなく残った事も保存状態も、本当に奇跡的としか言いようがない。

「第57幅 神通」
鑑賞前は、全百幅を観れるのは嬉しいが、途中でお腹一杯になってしまわないかと心配だったが、実際に目にすると、強烈な画力に圧倒されそうになるのだが、一幅一幅のモチーフが多彩かつユーモラスで、まるでマンガか絵本を読み進めていくような感覚で全てを鑑賞する事出来た。
それにしても、あれほどの緻密さと大胆さを兼ね備えた画師がほとんど忘れ去られているという事実には驚かされるし、また、あれだけの作品を僅か10年でほぼ完成させている(実際には最後の数幅は妻と弟子によって完成させた)集中力は並大抵の才能ではない。これほどの画師が無名でいる日本画の世界はどれほどの広大なのかと思うと観終わった後も改めてと感じ入ってしまった。
帰宅後、以前に録画保存してあったハイビジョン特集「秘宝公開 驚異の仏画 五百羅漢図」を観返してみると、すっかり記憶から抜け落ちてしまっている情報に再会できて新鮮な気持ちで見直す事ができた。
余談だが展示会で購入した図録を読んでいると冒頭に今回の展示会の仕掛け人である山下裕二氏の文章に氏と狩野一信との出会いから展示会を実現するまでのエピソードが語られていたが、氏が展示会の企画をし始めた頃、狩野一信についてどれほど世間一般で情報を得られるか、何気なくネットで検索したらウィキに「狩野一信」の項目があった事に驚き、次に展示会で鑑賞したお客さんはネットで狩野一信について調べたら、一番最初にウィキペディアのこの項目にアクセスするだろうと思い、不確かな箇所や間違っている箇所を訂正したという話が面白かった。
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- by Phantom
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